不妊治療で重要なLH値 卵子の質を上げることとの相関はある?

みなさんは、「LH値」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。
妊活中の方にとっては聞き覚えのある言葉かもしれません。
実はこのLH値、妊娠可能性に大きな影響を与える大変重要なデータなのです。
そこで今回は、LH値の正体、また、卵の質との関係性を中心に解説します。

LH値とは

LH値とは、LHと呼ばれる黄体形成ホルモンの分泌値を意味します。
LHには排卵を促す作用がある上、文字通り、黄体という組織を形成する働きを持っています。
この黄体という組織は子宮内膜を受精卵が着床しやすいものにしてくれるプロゲステロンというホルモンを分泌してくれます。
LHとは、妊娠しやすい体を作るために必要不可欠なホルモンなのです。

LH値は高ければ高いほどいいの?

排卵を促し、黄体を形成する働きを持っているLH。
その働きを聞くと、多ければ多いほどよいという印象を受けますが、実はLH値は高すぎても低すぎてもいけないのです。
値が低い場合は視床下部の異常による月経不順が見られる可能性があり、値が高い場合は卵巣が原因の排卵障害があることが考えられます。
卵が成熟しているにも関わらず、何らかの障害が原因で排卵が起こらないため、排卵を起こそうと体がLHを多量に分泌するのです。
LHはまさに「過ぎたるは及ばざるがごとし」なのです。

LHと卵の質の相関

不妊治療に取り組んでいる方は、質の良い卵が治療成功率アップのカギであるとご存じなのではないでしょうか。
このLH値は妊娠可能性を計る基準としてよく使われますので一見卵の質との相関がありそうですが、実は卵の質を計る基準は別にあります。
それがFSH値という値です。
FSHとは卵胞を刺激し、卵子を成熟させる作用を持ったホルモンです。
FSHが正常な値の場合、卵子が順調に成熟していることを意味します。
したがって、卵の質の目安としてはFSH値を用いるのがよいでしょう。

LH値は時期によって変動

LHはその性質上、排卵期と閉経後に多く分泌されます。
したがって、基準値も時期によって異なり、卵胞期は1.8~7.0ですが、排卵期になると5.6~34.9、閉経後には6.7~38.0となります。(単位はmIU/ml)

ご覧頂いた通り、LHには排卵を促進するという妊娠する上で非常に重要な役割があります。
LH値が低い場合には視床下部に、LH値が高い場合には、卵巣の排卵障害が考えられます。
LH値は、不妊の原因特定に役立つ数値ですので、治療に取り組むには必ずデータを取るようにしましょう。
また、卵の質を計りたい時は、FSH値を参考にするようにしましょう。