やっぱり不安?鍼灸治療の痛みについて

皆さん、針といわれると、注射針や縫い針などをイメージしてしまうの方が多いのではないかと思います。これらの針を刺すと考えると、非常に痛そうですが、実際の針治療の鍼は刺しても痛くないのです。今回はそのメカニズムを解説していきたいと思います。

・どうして痛くないの?

針で痛みを感じる時は、針が皮膚に刺さったときです。しかし、鍼治療で使用する鍼は、0.2mmほどの極めて細く弾力のある鍼のため、痛みをほとんど感じることはありません。 人間の皮膚の表面には痛みを感じる痛点が数多くあります。どんなに細い鍼を使っても、この痛点を避けることはできません。しかし、痛点はある一定以上の刺激でなければ反応しないため、それ以下の刺激では痛みを感じることはありません。そのため、鍼治療の際は強い刺激を与えないように、刺し方や針の形状に工夫をしてあるのです。

針を刺入するときには、筒状をした鍼管という管を使用します。鍼を鍼管に入れ、鍼管上部に少しだけ出ている針の頭を、手で叩いて入れます。この手法で針を刺入すると針の先が皮膚を瞬時に通過するため、細胞の破壊が最小限で済んで痛みをあまり感じないのです。
また、針の先端は丸みを帯びているので、皮膚に刺さるときの抵抗が少なくなり、スムーズに入るため、痛みを最小限に抑えることができるのです。

・お灸は熱くない?

お灸というと、我慢するのがつらいぐらい熱い、お灸のあとが火傷として残るなどのイメージがありますが、現在では特に希望がある場合以外は、このようなお灸をすることはありません。 近年では、痕が残らない、熱くないお灸が主流となっています。皮膚の上に灸点紙という紙を敷いたり、皮膚と灸の間に生姜やニンニク、味噌などを挟み、熱さを緩和させたりする方法もあります。 もうひとつ、熱さを感じない理由としてあげられるのが、もぐさの燃焼温度が低いことです。もぐさは、よもぎの葉を乾燥させて作られています。よもぎには、チネオールという揮発性の精油成分が多く含まれていますが、このネチオールのおかげで燃焼温度が低くなるのです。 よもぎは植物なので、天候に左右され収穫量が安定しませんが、現代の科学を持ってしても、代わりになるようなものは見つかっていません。

いかがでしたか?針の痛さと同様に、熱さに対する感覚も、人によってそれぞれです。同じ熱さでも心地よく感じる人と不快に感じる人がいます。お灸はどんな場合でも、不快な熱さを感じさせないように、気持ちよく感じてもらうのが原則となっています。